Switch 2『Star Fox』は64のリメイク?過去作との関係を整理

Nintendo Switch 2『Star Fox』は『スターフォックス64』のリメイクなのか。何が同じで何が変わったのか、そして任天堂自身が「リメイク」と呼んでいない点まで、公式情報をもとに整理します。

2026年6月25日、Nintendo Switch 2 で『Star Fox』が発売されました。 2016年の『スターフォックス ゼロ』以来、約10年ぶりのシリーズ新作です。

多くのメディアはこの作品を「『スターフォックス64』のリメイク」と紹介しています。 実際、遊んだ内容もそのとおりに見えます。ところが任天堂自身は、 一度も「リメイク」という言葉を使っていません。

この記事では、Switch 2版が『スターフォックス64』と何が同じで何が違うのか、 そして時系列上どこに位置するのかを、公式情報をもとに整理します。

結論から先に

  • Switch 2版『Star Fox』は**『スターフォックス64』(1997年)をベースにした作品**
  • ステージ構成もルート分岐も64版のまま。 新ステージは追加されていない
  • 変わったのはグラフィック、キャラクターデザイン、演出、追加ムービー、図鑑テキストなど
  • ジェームズ・マクラウドの過去を描くプロローグが新たに映像化された
  • 任天堂は公式サイトでも公式映像でも「リメイク」と言っていない。 「64をベースに」という言い方をしている
  • 時系列上どこに入るのかは、公式に示されていない

公式設定どんなソフトなのか

項目内容
タイトルStar Fox
発売日2026年6月25日
機種Nintendo Switch 2 専用
価格パッケージ版6,480円/ダウンロード版5,480円(税込)
発表2026年5月7日「Star Fox Direct 2026.5.7」

任天堂公式サイトのストーリー紹介はこうです。

天才科学者「Dr.アンドルフ」の侵略で銀河が危機に陥った。 その命運を託されたのは「スターフォックス」の4人。

——Star Fox 公式サイト(任天堂)

ライラット系の平和を守るため、星々を巡りながら、仲間と共に敵の本拠地「ベノム」を目指す物語。

——同・ゲームシステムページ

これは『スターフォックス64』の筋書きそのものです。


公式設定64版と同じところ/変わったところ

同じところ

  • ステージ構成 — 「『スターフォックス64』のステージ構成はそのままに」(ファミ通)
  • ルート分岐 — ミッション達成や撃墜数によってルートが変化する仕組みも踏襲
  • 物語と世界観 — 「物語や世界観、複数のルートがあるステージ進行やギミックなどなど、 基本的な部分は『スターフォックス64』を踏襲」(ファミ通)
  • 搭乗機体 — アーウィンに加え、戦車ランドマスター、潜水艦ブルーマリンも登場

ちなみにブルーマリンは、シリーズで『スターフォックス64』の惑星アクアスに 一度きり登場した機体です。以降の作品ではアーウィン自体が水中に潜れるようになったため 出番が消えていました。約29年ぶりの復活ということになります。

なお、この機体の出自も任天堂公式に書かれています。

スリッピーが廃棄部品などを集めて造った潜水艦型のマシン

——『スターフォックス64 3D』公式サイト(任天堂)

チームのメカニックが有り合わせで作った潜水艦、という設定です。

そしてSwitch 2 版のゲーム内図鑑「ホロメモリ」では、この設定がさらに詳しくなっています。

正式な購入機体ではなく、同部隊メカニックのスリッピー・トードが、 アーウィンの整備パーツや廃棄部品を使って趣味で組み上げたもののようだ。 アーウィンのローリング機構やレーザー砲を流用していることから、 推進部や機動機構はアーウィンに類似している。(…) 同機は惑星アクアスでの任務にて初めて実戦投入され、作戦を見事成功に導いた。

——ホロメモリ「ブルーマリン」(Star Fox/Nintendo Switch 2、任天堂)

趣味で組み上げた」「試作機」。有り合わせどころか、スリッピーの個人的な工作でした。 アーウィンと同じローリングができる理由も、部品の流用として説明されています。

変わったところ

項目内容
グラフィック全面的に刷新
キャラクターデザイン一新。プロデューサーの小泉氏は「今回はフォックスたちをより動物らしくしてみました」とコメント
音声フルボイス化
音楽オーケストラ演奏
ブリーフィング立ち絵と会話テキストから、グレートフォックス艦内でのやり取りの場面に(GAME Watch)
ムービー新規シーンを多数追加。プロローグが新たに映像化
図鑑(ホロメモリ)キャラクターや惑星の詳細テキストを大幅に追加
難易度3段階(イージー/ノーマル/エキスパート)を選択可能
チャレンジモードクリア済みステージを自由に選んで遊べるモードを追加
バトルモード4対4の対戦を追加。スターフォックスチームとスターウルフチームに分かれて戦う
おすそわけ通信ソフト1本で最大4人まで一緒に遊べる
協力プレイJoy-Conを分け、パイロットとガンナーの2人プレイが可能に
操作マウスモード、Nintendo 64コントローラー対応

対戦まわりは、公式映像で次のように紹介されています。

  • バトルモードは4対4。スターフォックスチームとスターウルフチームに分かれて戦う
  • おすそわけ通信を使えば、ソフト1本で最大4人まで一緒に遊べる

スターフォックスの宿敵チーム「スターウルフ」が対戦モードの一方の陣営として 立っているのは、64版の対戦にはなかった構図です。

なお、64版にあったオフラインの4人対戦(画面分割)がそのままの形で 残っているかどうかは、筆者は確認できていません。 おすそわけ通信による4人プレイとは仕組みが異なるため、別途確認が必要です。

まとめると、遊びの骨格は64版そのままで、見せ方と周辺のモードが大きく強化された作品です。


公式設定いちばん増えたのは「設定」だった

表の中の「図鑑(ホロメモリ)」という一行は、実物を見ると印象が変わります。

ホロメモリは全66項目あります。 キャラクター、機体、惑星、ボス、敵部隊、 そして事件の記録である「ミッション・レポート」。 その一つひとつに、数百字規模の解説がついています。

そして重要なのは、その中身が既存設定の再録ではないということです。 これまで29年間どこにも書かれていなかったことが、いくつも書かれています。

主なものを挙げます。

項目ホロメモリで初めて明かされた内容
Dr.アンドルフ追放前の量刑は死刑だった。ペパー将軍が減刑を求めて追放に変わった
Dr.アンドルフ彼の反重力理論がGディフューザー技術の基盤になっている
Dr.アンドルフ追放の原因は実験失敗による爆発事故と、違法なバイオテクノロジー研究の発覚
ジェームズ・マクラウド生存状況:不明(死亡と推定)
ジェームズ・マクラウド軍を辞めた理由は官僚主義への懸念。ペッピーとの共同創設
ピグマ・デンガー元はアンドルフの直属の部下。裏切りは5年前の出来事
ソーラ惑星ではなく伴星M型星。主星ライラットは青色巨星
惑星コーネリア**系内人口の約85%**が集中している
惑星ベノム地殻の未確認物質がスキャンを拡散・反射していたため探知できなかった
ミッション・レポートこの記録は「ペッピー・ヘアの証言を元にした文書」である

64版のブリーフィングやテキストには、こうした情報はありませんでした。

つまりSwitch 2 版は、ゲームの内容は64版を踏襲しつつ、 その世界の設定資料を丸ごと1冊分足した作品だということになります。

見た目の刷新やモードの追加より、シリーズの理解にとってはこちらのほうが大きいかもしれません。 少なくともこのサイトで扱っている「時系列」「アンドルフの経緯」「ジェームズの生死」 「ライラット系の構造」といった論点は、ホロメモリによって軒並み書き換わりました。

なお。 本記事のホロメモリの引用は、ゲーム内テキストの書き起こしにもとづきます。 筆者による原文表記の照合は未了です。

各項目の詳細は、それぞれの記事で扱っています。


公式設定任天堂は「リメイク」と言っていない

ここが本題です。

各メディアの表現を並べてみます。

媒体表現
ファミ通(2026年6月24日)正統進化のフルリメイク作品となっている」
ファミ通(2026年6月19日)「『スターフォックス64』のリメイクタイトル
4Gamer(2026年6月25日)「『スターフォックス64』の『リメイクタイトル』だ」
AUTOMATON(2026年5月7日)「『スターフォックス』リメイク、電撃発表」
電ファミニコゲーマー(2026年5月7日)「NINTENDO64版をベースにグラフィックスを刷新」

ほとんどの媒体が「リメイク」と呼んでいます。電ファミだけが「ベース」という表現です。

では任天堂自身はどう言っているか。

  • 公式サイトに「リメイク」の表記はありません。 ソフト紹介にもゲームシステムのページにも出てきません
  • 公式映像でも「リメイク」とは言っていません。 説明は「64をベースに、キャラクターを再デザインし、ステージはそのままに、 グラフィックをパワーアップした」という言い方に終始しています

つまり 「リメイク」という呼び方はメディア側の表現であり、任天堂の言葉ではありません。

実態として64版の作り直しであることは間違いないので、 「リメイクですか?」と聞かれれば「はい」と答えて差し支えないでしょう。 ただし、任天堂がその言葉を選んでいないという事実は、意外と知られていません。


考察なぜ任天堂は「リメイク」と言わないのか

ここからは推測です。公式が理由を説明した資料は確認できていません。 考えられる読み方を並べておきます。

① 64をベースにした作品が、すでに他にもあるから

『スターフォックス64』をもとにした作品は、これが初めてではありません。

  • 『スターフォックス64 3D』(2011年、ニンテンドー3DS)
  • 『スターフォックス ゼロ』(2016年、Wii U)

ファミ通も「これまでも『スターフォックス64』はアレンジ・リメイクされていたが、 今回は正統進化のフルリメイク作品となっている」と書いています。

「リメイク」と名乗ると、過去のそれらとの関係を説明しなければならなくなります。 特に『ゼロ』は位置づけが公式に整理されていないため、避けたい論点かもしれません。

→ 『ゼロ』については「スターフォックス ゼロは64のリメイク?」で扱います。

② 64版そのままではないから

プロローグの新規追加、図鑑テキストの大幅追加、演出の変更など、 物語の見え方は64版と同じではありません。 「リメイク」と言い切ると、追加部分が軽く見られる可能性はあります。

③ タイトルが『スターフォックス64』ではなく『Star Fox』だから

これが一番示唆的かもしれません。

このソフトの正式タイトルは 『Star Fox』。『スターフォックス64』でも、 『スターフォックス64 リメイク』でもありません。 シリーズ第1作と同じ「スターフォックス」という名前です。

64の作り直しというより、シリーズの新しい起点として置こうとしている と読むこともできます。ただし、これはあくまで筆者の推測です。


公式設定プロローグで描かれるジェームズ・マクラウド

Switch 2版で最も大きな追加が、プロローグの映像化です。

64版ではテキストで説明されていた「フォックスの父・ジェームズに何があったのか」が、 映像として描かれるようになりました。GAME Watch はこう書いています。

オリジナルではテキストベースだったプロローグが新たに映像化され、 キャラクターのバックストーリーに深みを持たせている

——GAME Watch レビュー

描かれる内容は、おおよそ次のとおりです。

  1. 舞台は惑星ベノム。ジェームズ・マクラウド率いる先代のスターフォックスが任務にあたる
  2. ジェームズはペパー将軍と通信している
  3. チームのメンバーはペッピーとピグマ
  4. ベノムの地表でDr.アンドルフ軍と戦闘になる
  5. ピグマが裏切る
  6. ペッピーを庇ったジェームズの機体が被弾する
  7. ジェームズの機体は高度を保てず、墜落する

ここで注目したいのは、この描写でも「ジェームズが死んだ」とは明示されていないことです。 GAME Watch も「ピグマの裏切りにより、ジェームズは生死不明となってしまう」と書いています。

2026年の最新作でも、描かれているのは墜落までです。

→ この点は「ジェームズ・マクラウドは本当に死んだ?」で 詳しく検証します。

なお、ジェームズがペッピーを庇ったという描写が64版にもあったかどうかは、 筆者は未確認です。もし新規の描写であれば、Switch 2版で追加された設定ということになります。


時系列上どこに入るのか

公式には示されていません。

任天堂は「64をベース」としか説明しておらず、 この作品が過去作とどういう時間関係にあるのかを述べていません。

分かっているのは次の点です。

  • 内容は『スターフォックス64』(1997年)と同じ筋書き
  • プロローグでジェームズの過去(本編より前の出来事)が描かれる

なお『64』の物語内部の時系列は、任天堂公式(『スターフォックス64 3D』公式サイト)に 次のように書かれています。

コーネリア軍のペパー将軍は、この科学者を辺境の惑星ベノムに永久追放したのだが

5年後、惑星ベノムの不穏な動きをキャッチしたペパー将軍は

——『スターフォックス64 3D』公式サイト ストーリー(任天堂)

つまり「5年後」はアンドルフが追放されてからジェームズが調査に向かうまでの期間です。 ジェームズの失踪から本編までの期間ではありません。ここは混同されやすいところです。

シリーズ全体の時系列の中でどう扱うかは、読み手の判断に委ねられている状態です。

→ シリーズ全体の流れは 「スターフォックスの時系列を整理」にまとめています。

余談ですが、キャラクターの生みの親である今村孝矢氏は2011年のインタビューで、 シリーズの今後についてこう語っていました。

今後、続編を作るとしても『64』と『アドベンチャー』の間の話をするとか、 『64』の前の話をするかもしれない

——今村孝矢(ニンテンドードリーム2011年9月号/Nintendo DREAM WEB再掲)

15年後、実際に「『64』の前の話」がプロローグとして描かれたことになります。


まだ分かっていないこと

  • 任天堂が「リメイク」という言葉を避けている理由(公式の説明は確認できていません)
  • 時系列上の位置づけ(公式に示されていません)
  • 64版にあったオフライン4人対戦(画面分割)がそのまま残っているか
  • ジェームズがペッピーを庇う描写が64版にもあったか
  • ホロメモリの内容が、どこまで新規でどこからが既存設定の再録なのか。 『64』の当時の資料(説明書、公式ガイドブック、ニンテンドウ64専門誌など)を すべて確認できているわけではありません。 「初めて明かされた」と書いた項目にも、旧資料に記載がある可能性は残ります
  • ホロメモリの引用はゲーム内テキストの書き起こしにもとづきます。原文表記の照合は未了です
  • ホロメモリ全66項目のうち、確認できているのは一部です

情報をお持ちの方がいれば教えてください。確認でき次第この記事を更新します。


まとめ

Switch 2版『Star Fox』は、ステージもルート分岐も物語も『スターフォックス64』のまま、 グラフィック・演出・モードを大きく強化した作品です。 実態としては「リメイク」と呼んで問題ありません。

ただし、任天堂自身は公式サイトでも公式映像でも「リメイク」と言っていません。 一貫して「64をベースに」という表現を使っています。 タイトルが『スターフォックス64』ではなく『Star Fox』であることも含め、 64の作り直しというよりシリーズの新しい起点として置かれている可能性があります。

そしてもうひとつ。この作品で最も増えたのは、遊びではなく設定です。 ゲーム内図鑑「ホロメモリ」の全66項目には、 アンドルフの量刑からライラット系の恒星の種類まで、 29年間どこにも書かれていなかったことが並んでいます。

「64のグラフィックを新しくした作品」と考えていると、ここを見落とします。

そして最大の追加要素が、ジェームズ・マクラウドのプロローグです。 ピグマの裏切りと墜落までが描かれ、生死そのものは今回も明示されていません。


関連記事

参考資料


最終更新: 2026-08-11