スターフォックス ゼロは64のリメイク?正史・時系列を整理

『スターフォックス ゼロ』は『スターフォックス64』のリメイクなのか、それとも別世界なのか。任天堂公式の記述と舞台構成の違いを突き合わせ、「パラレルワールド」という説明の根拠まで検証します。

『スターフォックス ゼロ』(2016年、Wii U)は、シリーズの中で位置づけが分かりにくい作品です。

『スターフォックス64』と同じくアンドルフと戦い、同じメンバーで、コーネリアから始まって ベノムを目指す。では64のリメイクなのか。それとも別の世界の話なのか。

ネット上では「世界観をリセットしたパラレルワールド」という説明をよく見かけます。 この記事では、その根拠がどこにあるのかまで含めて、公式資料で検証します。

結論から先に

  • 任天堂は『ゼロ』を「リメイク」とも「64の続編」とも呼んでいません
  • 公式の言い方は「スターフォックスの新たなるはじまり」「新たなるスターフォックス
  • 舞台は64と似ていますが同一ではありません。登場する惑星の顔ぶれが違います
  • 公式のキャラクター紹介にジェームズ・マクラウドがいません
  • 宮本茂氏は、ストーリー要素を追加したと語っています
  • 「パラレルワールド」という説明の一次資料は、筆者は確認できていません
  • 結論として、正史上の位置づけは公式に示されていないのが現状です

公式設定『スターフォックス ゼロ』とは

2016年4月、Wii U 向けに発売された作品です。 同時に『スターフォックス ガード』も発売されました。

公式サイトのキャッチコピーは「縦横無尽に狙い撃つ スペースバトル」。 そして公式サイトには「スターフォックスの新たなるはじまり」というページがあり、 こう書かれています。

やとわれ遊撃隊『スターフォックス』と宿敵アンドルフの戦いを描く『スターフォックス』シリーズが Wii Uに登場! 新しいステージ・新しい敵・新しい機体…… Wii Uではじまる『新たなるスターフォックス』を体感せよ!

——『スターフォックス ゼロ』公式サイト「スターフォックスの新たなるはじまり」(任天堂)

ここで使われている言葉に注目してください。

  • ページの見出しが「新たなるはじまり
  • 本文が「新たなるスターフォックス

「リメイク」「リマスター」「続編」といった言葉は使われていません。


公式設定任天堂は「リメイク」という言葉を使わない

これは『ゼロ』に限った話ではありません。 シリーズを通して、任天堂はこの言葉を避けています。

作品任天堂の表現
スターフォックス64 3D(2011年)「ニンテンドー3DSで復活
スターフォックス ゼロ(2016年)新たなるはじまり」「新たなるスターフォックス
Star Fox(Switch 2/2026年)「64をベースに…」(公式サイト・公式映像に「リメイク」の語なし)

一方、メディアは各作品を「リメイク」「リブート」と表現しています。 たとえば4Gamerは『ゼロ』を「スペオペ3Dシューティングを新たな遊びとして 再構築したリブート作」と紹介しています。

「リメイク」「リブート」はメディア側の言葉であって、任天堂の言葉ではありません。

→ この傾向については 「Switch 2『Star Fox』は64のリメイク?」でも扱っています。


公式設定舞台は64と似ているが、同じではない

ここが具体的な手がかりになります。

『ゼロ』の公式サイト「戦いの舞台」ページに載っている惑星・宙域を、 『64』のものと並べてみます。

『スターフォックス64』(2011年『64 3D』公式サイト)『スターフォックス ゼロ』(公式サイト)
惑星コーネリア惑星コーネリア
メテオ
セクターY宙域セクターα宙域
惑星フィチナ惑星フィチナ
惑星アクアス
惑星ソーラ
セクターX宙域セクターβ宙域
セクターZ宙域セクターγ宙域
惑星マクベス
エリア3
惑星ゾネス
タイタニア
フォーチュナ
セクターΩ宙域
ベノムベノム

※ どちらも公式サイトに掲載されている範囲での比較です。 ゲーム内のステージがこれで全部とは限りません。

分かることを整理します。

共通しているのは骨格です。

  • コーネリアで始まり、ベノムで終わる
  • 惑星フィチナが登場する

しかし顔ぶれが違います。

  • 『ゼロ』にソーラ、アクアス、マクベス、メテオがない
  • 代わりにフォーチュナ、エリア3が入る
  • セクターの名前がX・Y・Zからα・β・γ・Ωに変わっている

セクター名の変更は分かりやすい違いです。 64の「セクターX」「セクターY」「セクターZ」を、 そのまま使わずギリシャ文字に置き換えているわけです。

「64をそのまま作り直した」のであれば、こうはならないはずです。 同じ世界を舞台にしつつ、構成を組み替えた作品と見るのが自然でしょう。

→ ライラット系の惑星については 「ライラット系とは?」で詳しく扱っています。


公式設定公式キャラクター紹介にジェームズがいない

もうひとつ、見逃せない点があります。

『ゼロ』公式サイトの「ストーリー&キャラクター」ページに載っているのは、 次の面々です。

  • フォックス・マクラウド「『スターフォックス』の若きリーダー」
  • ファルコ・ランバルディ「クールな凄腕パイロット」
  • ペッピー・ヘア「フォックスの成長を見守るベテランパイロット」
  • スリッピー・トード「チームのムードメーカー」
  • ペパー将軍
  • Dr.アンドルフ
  • ナウス
  • スターウルフ

ジェームズ・マクラウドの項目がありません。

これは『64』側と比べると差が際立ちます。 『スターフォックス64 3D』公式サイトでは、ペッピーの紹介文はこうでした。

フォックスの父親、故・ジェームズの戦友だったベテランパイロット。

——『スターフォックス64 3D』公式サイト 登場人物(任天堂/2011年)

一方『ゼロ』では、同じペッピーが 「フォックスの成長を見守るベテランパイロット」と紹介されています。

ジェームズへの言及が、公式の紹介文から消えているのです。

『64』では、ジェームズの失踪が物語の起点でした。 その要素が公式紹介に出てこないというのは、 『ゼロ』が別の入り方をしている作品であることの手がかりと言えそうです。

ただし注意が必要です。 これは公式サイトの紹介文にないという話です。 ゲーム内でジェームズが言及されるかどうかは、筆者は確認できていません。

→ ジェームズについては 「ジェームズ・マクラウドとは?」で扱っています。


描写から推測宮本茂は「ストーリー要素を追加した」と語っている

『ゼロ』の開発について、宮本茂氏の発言が任天堂公式のインタビューに残っています。

『スターフォックス』をつくるときは、じつはストーリーをとても気にしている

勧善懲悪の話にすると、単純すぎて想像の余地がなくなる

——宮本茂(『スターフォックス ゼロ』開発スタッフインタビュー[第3回]/任天堂)

そして同じインタビューでは、イヌとサルの対立の背景として 「転送装置」というストーリー要素を追加したことが説明されています。

「追加した」という言い方が重要です。 既にある物語に手を入れている、ということになります。

64をそのまま再現したのではなく、物語の背景に新しい要素を足している。 これは「単純なリメイクではない」ことの裏づけになります。


考察「パラレルワールド」説の根拠を探す

ここで、冒頭の話に戻ります。

ネット上では『ゼロ』について 「世界観をリセットした、過去作とつながらないパラレルワールド」という説明が 広く見られます。日本語版 Wikipedia にも同様の記述があります。

この説明の一次資料を探しましたが、筆者は確認できませんでした。

確認したのは以下です。

  • 『ゼロ』公式サイト(トップ/新たなるはじまり/ストーリー&キャラクター/戦いの舞台)
  • 任天堂公式の開発スタッフインタビュー(第1回・第3回)

いずれにも「パラレルワールド」「世界観のリセット」「過去作とつながらない」といった 明言は見つかりませんでした。

もちろん、筆者が確認できていない資料に記載がある可能性はあります。 宮本茂氏の公式ムービー2本(「宮本茂からのお知らせ」「Developer Story」)は 動画のため未確認です。

そのうえで、考えられる読み方を3つ並べます。

A説:64のリブート(作り直し)

64をベースに、遊びとステージ構成を組み替えて作り直した作品という読み方。

  • 骨格(コーネリア→ベノム、同じメンバー、同じ敵)が64と一致する
  • メディアもこの理解で「リブート」「再構築」と報じている

弱点: セクター名の変更や惑星の入れ替え、ジェームズへの言及がないことなど、 「作り直し」で説明しきれない差があります。

B説:別系統・パラレルワールド

64とは別の世界の物語という読み方。ネットで最も広く見られる説明です。

  • 惑星構成が違い、ジェームズへの言及もない
  • 「新たなるはじまり」という公式の言い方とも相性がいい

弱点: 一次資料が確認できていません。 公式が「別世界」と言った証拠がない状態です。

C説:位置づけを決めていない

任天堂が意図的に、時系列上の位置を明示していないという読み方。

これは他の作品の扱いを見ると、そこそこ説得力があります。

  • 3DS版は「復活」、Switch 2 版は「ベース」、『ゼロ』は「新たなるはじまり」—— 任天堂はどの作品についても関係を明言していません
  • そもそもシリーズは『コマンド』で「どの結末が正史か」も決めていません

→ この点は 「スターフォックス コマンドのエンディングはどれが正史?」で 扱います。

筆者としては、現時点ではC説が実態に近いと考えています。 公式が答えを出していないものを、こちらで断定するべきではないでしょう。


まだ分かっていないこと

  • 『ゼロ』の時系列上の位置づけについての任天堂の明言は確認できていません
  • パラレルワールド」「世界観のリセット」という説明の一次資料も確認できていません
  • 宮本茂氏の公式ムービー2本(「宮本茂からのお知らせ」「Developer Story」)は未確認です。 ここに位置づけの発言がある可能性があります
  • 開発スタッフインタビュー第2回は未確認です (URL: https://topics.nintendo.co.jp/article/da165d1f-0157-11e6-8360-063b7ac45a6d
  • ゲーム内でジェームズ・マクラウドが言及されるかは未確認です
  • 発売記念ショートアニメ(Production I.G/WIT STUDIO制作)の内容も未確認です。 ここに世界観の説明がある可能性があります
  • 『スターフォックス ガード』との世界観上の関係も未確認です

情報をお持ちの方がいれば教えてください。確認でき次第この記事を更新します。


まとめ

『スターフォックス ゼロ』について、任天堂は「リメイク」とも「続編」とも言っていません。 公式の言い方は「スターフォックスの新たなるはじまり」です。

舞台は64と似ていますが同一ではありません。 コーネリアで始まりベノムで終わる骨格は同じでも、 ソーラやマクベスがなく、セクターの名前もX・Y・Zからα・β・γ・Ωに変わっています。

そして公式のキャラクター紹介にジェームズ・マクラウドがいません。 『64』では物語の起点だった人物です。

「世界観をリセットしたパラレルワールド」という説明は広く見られますが、 その一次資料は確認できませんでした。

つまり現状の答えはこうなります。

『ゼロ』は64をベースにしつつ構成を組み替えた作品。 ただし正史上の位置づけは、任天堂が示していない。

分からないことを分からないままにしておくのも、 このシリーズを理解するうえでは大事なことかもしれません。


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参考資料


最終更新: 2026-08-11