スターフォックス64と初代SFC版は何が違う?リメイク?別世界?

『スターフォックス64』は初代スーパーファミコン版のリメイクなのか、それとも別世界なのか。1993年の初代の取扱説明書と任天堂公式の記述を突き合わせて、何が同じで何が加わったのかを整理します。

「『スターフォックス64』って、スーパーファミコンの初代の作り直しなの?」 「それとも別の話?」

シリーズを追いかけるとき、最初に引っかかるのがここです。 どちらもアンドルフと戦う話で、メンバーも同じ4人。でも物語の入り方が違う。

この記事では、1993年の初代の取扱説明書と任天堂公式の記述を突き合わせて、 何が同じで何が加わったのかを整理します。

結論から先に

  • 初代と『64』の世界観・敵・組織・メンバーは、ほぼそのまま同じ
  • アンドルフの追放という設定も、初代の説明書に書かれている
  • 「Dr.アンドルフ」という呼び方も初代からある
  • 『64』で最も大きく加わったのは「ジェームズ・マクラウド」の物語。 初代の説明書にジェームズは登場しない
  • したがって**「別世界」というより「同じ設定に前日譚を足したもの」**と見るのが自然
  • ただし、任天堂が「リメイク」「別世界」といった言葉で説明した資料は確認できていない
  • なお公式サイトに出てくる「4年」は、初代と『64』の間の年数ではありません(後述)

公式設定初代(1993年)の説明書には何が書かれているか

まず出発点を押さえます。

初代『スターフォックス』(1993年2月21日、スーパーファミコン)の取扱説明書は、 任天堂公式サイトでPDFとして公開されています(ニンテンドークラシックミニ スーパーファミコンのWEB説明書)。当時のものがそのまま読めます。

その「Background Story:戦いに至るまで」(P.2〜3)から引用します。

世界の説明

ライラット系…。広大な銀河のほぼ中央に位置する惑星集団である。 ここに住む全ての生き物は、周りの星々が羨むほどの恵まれた環境の中で、 ゆったりとした時の流れを楽しんでいたのだった、あの男が現れるまでは——

アンドルフの正体と追放

アンドルフ皇帝、かつての天才科学者Dr.アンドルフのことである。 ライラット系第Ⅳ惑星コーネリアで生まれ育った彼は、子供の頃から異彩を放ち、 若くして超次元空間における動力機関開発の第一人者となった。 しかし、その優れた頭脳を私欲のためだけに使うようになってからは危険な実験を繰り返し、 ついにはコーネリア星から追放されたのだった。

開戦

時がたち、人々がDr.アンドルフの名を忘れ始めていたある日、 コーネリア防衛隊は第Ⅰ惑星ベノムの異常に気付いた。ベノムより発進される、様々な未確認物体。 思えばこれがコーネリアに怨みを抱く、アンドルフからの宣戦布告だったのである。

スターフォックスの登場

コーネリア防衛隊長ジェネラル・ペパーは、開発中だった超高性能戦闘機アーウィンの 戦線投入を決定。だがアーウィンを乗りこなすパイロットを養成するには、 事態はあまりに緊急を要していたのだ。

『そうだ!スターフォックスだ‼』

ペパーは叫んだ。宇宙狭しと名を馳せる、傭われ遊撃隊スターフォックス。 彼ら4人に下された任務は、惑星ベノムの奪回とアンドルフ軍制圧である。

読んでみると分かりますが、初代の時点で設定はかなり細かく決まっています。

  • ライラット系は「広大な銀河のほぼ中央に位置する惑星集団」
  • コーネリアは第Ⅳ惑星、ベノムは第Ⅰ惑星
  • アンドルフはコーネリア出身の天才科学者で、危険な実験の結果コーネリアから追放された
  • Dr.アンドルフ」という呼び方も、この時点で使われている
  • ペパーは「コーネリア防衛隊長ジェネラル・ペパー」
  • スターフォックスは依頼される前から「宇宙狭しと名を馳せる」有名なチーム
  • アーウィンはペパーが戦線投入を決めた「開発中だった超高性能戦闘機」

「Dr.アンドルフは64からの設定」と思っていた方は、ここが意外かもしれません。 初代からある呼び方です。


公式設定初代の説明書にジェームズ・マクラウドは出てこない

そして、ここが本題です。

初代の説明書の「ものがたり」は上記の2ページで完結しています。 その中に、フォックスの父ジェームズ・マクラウドの名前は一度も出てきません。

さらに、この説明書のもくじにはキャラクター紹介の項目自体がありません。

もくじ ものがたり P.2 / コントローラ操作 P.4 / ゲームについて P.6 / ステージ紹介 P.15 / 敵ボス紹介 P.18 / ルートマップ P.20

つまり初代の物語は、こう要約できます。

追放された天才科学者が復讐のために攻めてきたので、 防衛隊長が有名な傭兵チームに依頼して迎え撃つ。

主人公フォックスは「チームリーダーであるあなた」であり、 公式のソフト紹介では「若きチームリーダー」と書かれています。 父の話は、まだどこにもありません。

確認できた範囲について。 筆者が確認したのは、もくじ(P.1)、ものがたり(P.2〜3)、 およびゲーム画面の解説ページです。操作説明・ステージ紹介・敵ボス紹介・ルートマップの 各ページは全て確認できていません。「ものがたりに登場せず、 キャラクター紹介の節も存在しない」という範囲での確認です。


公式設定『64』で加わったもの

『スターフォックス64』(1997年4月27日)では、物語の入り方が変わります。

『64』本体の公式サイトは残っていませんが、 移植版『スターフォックス64 3D』(2011年、ニンテンドー3DS)の公式サイトが現存し、 『64』のストーリーと登場人物が公式に記載されています。 そこから引用します。

ライラット系第4惑星コーネリア・・・・かつては宇宙平和のリーダー的存在だったこの星も、 Dr.アンドルフの恐ろしい発明により、絶滅の危機にさらされた。

コーネリア軍のペパー将軍は、この科学者を辺境の惑星ベノムに永久追放したのだが

5年後、惑星ベノムの不穏な動きをキャッチしたペパー将軍は

ピグマの裏切りにより、ジェームスとペッピーはアンドルフの罠に落ちてしまう

命からがら脱出したペッピーは、故郷の惑星パペトゥーンに戻り、 ジェームスの息子、フォックスに父親の最期を告げた

——以上『スターフォックス64 3D』公式サイト ストーリー(任天堂)

つまり『64』は、フォックスの父ジェームズ・マクラウドが、ペパー将軍の依頼で ベノムの調査に向かい、仲間ピグマの裏切りによって最期を迎える—— という出来事を出発点にしています。

登場人物ページでも、ペッピーは「フォックスの父親、故・ジェームズの戦友だった ベテランパイロット」と紹介されています。

ジェームズの表記について。 公式サイト内でも、ストーリーページは「ジェームス」、 登場人物ページは「ジェームズ」と表記が揺れています。 引用は原文のままとし、本文では「ジェームズ」で統一しています。

そして2026年の Switch 2 版『Star Fox』では、この出来事が プロローグとして映像化されました。ジェームズが率いる先代のスターフォックス、 ピグマの裏切り、そしてジェームズの機体の墜落までが描かれます。

→ 詳しくは「Switch 2『Star Fox』は64のリメイク?」で扱います。

開発者の今村孝矢氏は、『64』の物語の性格をこう語っています。

ようするに『64』ってフォックスの成長物語なんですよね。 彼は若くしてリーダーになるわけですけど、やっぱり不安だから経験のある相棒を探していたわけです。

——今村孝矢(ニンテンドードリーム2011年9月号/Nintendo DREAM WEB再掲)

初代の説明書の「宇宙狭しと名を馳せる」チームとは、ずいぶん印象が違います。

2026年、その前日譚がさらに細かくなった

Switch 2 版『Star Fox』のゲーム内図鑑「ホロメモリ」では、 この前日譚が設定資料の水準まで書き込まれています。

  • アンドルフの当初の量刑は死刑だった。ペパー将軍が減刑を求めて追放になった
  • ジェームズが軍を辞めたのは官僚主義への懸念から。ペッピーとの共同創設
  • ピグマは元アンドルフの直属の部下で、待遇目当てでスターフォックスに入った
  • 事件は本編の5年前。アンドルフの追放はそのさらに5年前

初代の説明書には、この人物関係が一行も存在しません。

初代のアンドルフは「私欲のために危険な実験を繰り返して追放された科学者」でした。 それが2026年には、待遇への不満を募らせ、死刑判決を受け、 ペパーの温情で生き延びた人物として描かれています。

33年かけて、同じ出来事に人間関係が足されていったことになります。

なお、初代の「アンドルフ皇帝」という呼び方は現在も生きています。 ホロメモリのピグマの項目に「彼を皇帝と呼び慕ってはいる」という一文があり、 Dr.アンドルフの役職欄にも「“ライラット皇帝”」と書かれています。 ただし引用符付きなので、自称であることが示唆されています。

→ 詳しくは「アンドルフはなぜベノムへ追放された?」で扱っています。


初代と『64』を並べて比べる

公式資料で確認できる範囲で並べると、こうなります。

項目初代(1993年)『64』(公式サイトの記述)
ライラット系銀河のほぼ中央の惑星集団同じ
コーネリア第Ⅳ惑星「ライラット系第4惑星」で一致
ベノム第Ⅰ惑星。アンドルフの拠点「辺境の惑星ベノム」
アンドルフの出身コーネリア明記なし(コーネリアの科学者として描かれる)
アンドルフの正体天才科学者(Dr.アンドルフ)同じ
追放されたこと危険な実験の結果、追放同じ
依頼者コーネリア防衛隊長ジェネラル・ペパー「コーネリア防衛軍司令官」ペパー将軍
スターフォックス傭われ遊撃隊。有名なチーム同じ
メンバーフォックス、ファルコ、ペッピー、スリッピー同じ
アーウィン超高性能戦闘機同じ
フォックスの立場若きチームリーダー「父親の志を継ぐべく、新しいチームのリーダーに着任」
ジェームズ・マクラウド登場しない物語の起点
ピグマの裏切り記述なし前日譚の中核

世界観・敵・組織・メンバーはほぼそのまま。加わったのは主人公の父の物語です。

細かく見ると、追放の経緯は具体化されている

一致していると書きましたが、アンドルフの追放については『64』で情報が増えています。

項目初代(1993年)『64』(公式サイト)
アンドルフの立場超次元空間における動力機関開発の第一人者コーネリア防衛軍科学主任
追放の原因私欲のために危険な実験を繰り返した恐ろしい発明によりコーネリアが絶滅の危機
誰が追放したのか書かれていないコーネリア軍のペパー将軍
追放先書かれていない辺境の惑星ベノムに永久追放

矛盾はしていません。ただ、「ペパー将軍が追放した」という点は初代にない情報です。 これによって、ペパーとアンドルフの間に因縁が生まれます。

『64 3D』公式サイトのペパー将軍の紹介文にも、危険な科学者への処置が 今の危機を招いたという趣旨の説明が添えられています。

→ アンドルフの追放については「アンドルフはなぜベノムへ追放された?」で 詳しく扱います。

もうひとつの発見:フォックスの故郷はライラット系ではない

『64 3D』公式サイトによれば、フォックスは 「惑星パペトゥーンの宇宙アカデミーでコーネリア防衛軍の士官候補生として学んでいた」とあり、 ペッピーは脱出後「故郷の惑星パペトゥーン」に戻っています。

そしてキャラクターの生みの親である今村孝矢氏は、こう語っています。

パペトゥーンは別の太陽系にあります。だからライラット系ではないんですよ。

——今村孝矢(ニンテンドードリーム2011年9月号/Nintendo DREAM WEB再掲)

つまり ライラット系を守る傭兵チームは、ライラット系の出身ではないことになります。

→ 「ライラット系とは?」で詳しく扱います。


描写から推測では「リメイク」なのか「別世界」なのか

ここからは推測を含みます。

任天堂が「『64』は初代のリメイクである」あるいは「別世界である」と 明言した資料は、筆者は確認できていません。 そのうえで、上の比較から言えることを整理します。

「別世界」と考えるのは少し無理がある

世界の構造、惑星の番号、敵の正体、追放の経緯、組織、メンバー、機体—— 確認できる設定はほとんど一致しています。 別の世界と呼ぶほどの違いは見当たりません。

「同じ設定に前日譚を足したもの」と見るのが自然

初代の設定を土台にしたまま、その手前にジェームズの物語を足した。 そう考えると、物語の性格の変化も説明がつきます。

  • 初代:腕利きの傭兵チームがベノムを奪回する話
  • 『64』:父を失った若者が、父の仇に挑む話

同じ戦いを描きながら、誰の物語なのかが変わっているわけです。

『2』の存在も忘れてはいけない

もう一つ押さえておきたいのが、未発売に終わった『スターフォックス2』です。

任天堂公式の「社長が訊く」では、『2』のアイデアが後に『64』へ活かされたことが 語られています(第4話「幻の『スターフォックス2』」)。

つまり『64』は、初代を単純に作り直したものではなく、 『2』で試した要素も取り込んで作られたということになります。 「初代のリメイク」という言い方では、この経緯がこぼれ落ちます。

なお『64 3D』(3DS)の開発を担当した高野氏は、 「僕はもともと、N64版のスクリプト、登場キャラクターのセリフなどを担当していて、 今回はニンテンドー3DS用につくりなおす」と語っています。

そして『64 3D』の公式サイトは、この移植をこう紹介しています。

1997年、ニンテンドウ64で発売された『スターフォックス64』が、ニンテンドー3DSで復活

——『スターフォックス64 3D』公式サイト(任天堂)

「リメイク」ではなく「復活」。 2026年の Switch 2 版でも任天堂は「リメイク」という語を 使っていません。シリーズを通して、任天堂はこの言葉を避ける傾向があるようです。

→ 「Switch 2『Star Fox』は64のリメイク?」でも この点を扱っています。


注意:公式サイトの「4年」は初代と『64』の間の年数ではありません

ここでひとつ、誤解されやすい点を補足します。

『スターフォックス アドベンチャー』公式サイトの「スターフォックスヒストリー」には、 こういう文があります。

皇帝アンドルフとの忌まわしき戦いから4年…ライラット系はひとまず平和を取り戻し、 スターフォックスもチームで出撃するような大きな仕事をめっきり減らしていた。

——「スターフォックスヒストリー」(任天堂)

この文はページ上で『64』の紹介の近くに置かれているため、 「初代から64までが4年」と読めてしまいます。

しかしこれは、公式コミック「さらば愛しのファルコ」の導入文です。 同じ文がコミック本体の冒頭にも置かれています。

つまり「4年」は 『64』でアンドルフを倒してから4年後、 つまりコミックの舞台を指す年数です。初代と『64』の間の年数ではありません。

登場人物の年齢でも裏づけられます。 コミックのフォックスは22歳、『アドベンチャー』のフォックスは26歳。 きっちり4年差で、『アドベンチャー』が「64から8年後」であることと整合します。

→ 詳しくは 「スターフォックス アドベンチャーは64から何年後?」へ。

したがって、初代と『64』の間の年数を示した公式資料は確認できていません。 両者の関係については、任天堂が何も説明していないというのが現状です。


まだ分かっていないこと

  • 任天堂が『64』を**「リメイク」または「別世界」と説明した資料**は確認できていません
  • 初代の説明書の残りのページ(操作説明、ステージ紹介、敵ボス紹介、ルートマップ)は 未確認です。ジェームズへの言及がどこかにある可能性は否定できません
  • 初代のゲーム内テキストは未確認です(説明書のみの確認)
  • 初代と『64』の間の年数を示した公式資料は確認できていません
  • 『64』側の資料として使ったのは移植版『64 3D』の公式サイトです。 『64』本体の取扱説明書・当時の公式サイトは確認できていません

情報をお持ちの方がいれば教えてください。確認でき次第この記事を更新します。


まとめ

初代と『64』は、世界観・敵・組織・メンバーがほぼそのまま同じです。 アンドルフの追放という設定も、「Dr.アンドルフ」という呼び方も、 すべて1993年の初代の説明書に書かれています。

『64』で最も大きく加わったのは、ジェームズ・マクラウドの物語です。 初代の説明書にジェームズは登場しません。

ですから「別世界」というより、**「同じ設定に前日譚を足したもの」**と見るのが自然でしょう。 初代が「腕利きの傭兵チームの話」だったのに対し、 『64』は「父を失った若者の話」になった——誰の物語かが変わったのです。

ただし、任天堂が初代と『64』の関係を説明した資料は確認できていません。 同じ設定を使っていながら、作り直しなのか続きなのかは示されていない。 そこがスターフォックスの時系列の面白いところでもあります。


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参考資料


最終更新: 2026-08-11